「最高に楽しかった!思わず曲を口ずさんだ!」
この声を頂くために、半年以上かけてコツコツと積み上げてきたワーグナー祭実行委員会。当日は、300名を超えるお客様でホールが盛り上がりました。公演後には、お見送りのスタッフに、お客様方から満面の笑顔で声を掛けられたということを聞き、実行委員一同、本当に良かったと苦労が報われた瞬間でした。
最初の委員会は昨年5月。コロナ以来会議がオンラインになったのは有難いことです。メンバーは土屋広次郎氏を委員長とし、水野佐知香理事長、島津秀雄ワーグナー祭担当理事、谷裕美さん、児玉真理さん、辛島安妃子さん、三國彰子さん、森園ゆりさん、石井淳さん、そして私、青木です。
今年からワーグナー祭の趣向を変え、今までの単品を並べたようなプログラムから、何かテーマ性のある催しができないか、それも小ホールならではの楽しみ方のできるものを考えようということになりました。
「オペラのハイライト的なものはどうかな?日頃オペラなんて長いからなかなか聴きに行かないね。それじゃ、聴いたことのある旋律の〈いいとこ取り〉みたいにしたら?コンサート形式なら照明や小道具無しで小ホールでもできるし。これをきっかけに次は本当のオペラを聴きに行ってみようって思ってくれたら素晴らしいよね?ピアノ伴奏?オケ伴?1演目でハイライトにする?それとも3大オペラからピックアップ?」
喧々囂々、侃々諤々の議論の末、「やっぱりモーツァルトだよね、新春だし(???)」と、煮詰まってきました。なんて言ったって楽しいのは「フィガロの結婚」でしょう、と。それならいっそのこと前半も後半もオールモーツァルトにして、タイトルは新春にわくわくするように「わくわくモーツァルト」にしよう、と。ここまでくると、あとはこのテーマに沿って進行方向が見えてきます。
前半は三國委員ご推薦の華やかな「ピアノ連弾」から始まって、石井委員が傑作ですよ、と太鼓判を押した「ピアノと管楽の五重奏」、そして一度やってみたかったのよ、と水野理事長が「音楽の冗談」をご提案。楽譜もお持ち、ということであとは人選に移ります。
後半はフィガロ一色で序曲から始め、アリア、重唱など、音文協の歌手の配役や歌のピックアップを決めていきます。そしてやっぱり飛び飛びだとストーリーがわからないから、ナビゲーターが必要だね、と何と土屋委員長が伯爵役と二股をかけて司会もやることに。
月に一回のペースで、計7回の実行委員会を開催、昼間は皆忙しいので、夜八時からスタート。委員それぞれが役割分担し、当日までの課題を二時間くらいかけて一つ一つ話し合って解決していきました。
オケのリハーサルは、ミズキ―ホールにて。コンマスの三又氏が何か演奏に注文を付けたいときに、まず「いやー素晴しい!」と絶賛してから「あのー、これは全く僕の好みの問題なんですが…」と超低姿勢で言われるのが面白く、それに対して管楽器から「俺の好みじゃねえな」と混ぜっ返す声がして爆笑。人心をさっと掴まれるテクに乗せられて、リハも気持ちよくさくさくと進みました。
さて本番では土屋委員長の司会がユーモアたっぷりで素晴らしく、お客様が本当に引き込まれているのが舞台からもわかりました。それにしても、マイクで喋った後すぐに伯爵役の立派なお声が良く出るものだなーと歌手の後ろのオケで弾きながら感心してしまいました。配役もばっちり。とても生き生きした「フィガロの結婚」でした。
終わってから、お客様の感想で「普通オペラだとオケはピットに潜ってしまうので全く見えないが、今回は舞台の上で良く見えたので、こういう風に弾いているのかとわかって面白かった」という声があり、なるほどー。観る側の視点も伺え、コンサート形式の形態も悪くないな、と。しかも「オペラは敷居が高くてなかなか行かないけれど、面白かったから今度聴きにいってみようかなー」と。これは我々の目論んだ通りではないですか。弾く方も聴く方もわくわくしたワーグナー祭でした。
今回、私はオケに載っていたので、ほかの方々の演奏をじっくり聴くことが出来なかったのですが、とても素晴らしいものだったというのはお客様の感想から伝わってきました。そして、ホールの外でスムーズな運営に尽力下さった委員、スタッフの方々、本当に有難うございました。
そして何より最高に素晴らしかったのは、何といっても「モーツァルトの音楽」です!
皆をわくわくさせてくれて、本当に有難う、モーツァルトさん!
ヨコハマ・ワーグナー祭実行委員会 青木敦子会員

4手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381
ピアノ:泉ゆりの 南部麻里

ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 K.452より第一楽章
オーボエ:杉浦直基 クラリネット:山崎泰子 ホルン:國井沙織 ファゴット:石井淳 ピアノ:南部麻里

音楽の冗談 ヘ長調 K.522
ヴァイオリン:水野佐知香 三又治彦 ヴィオラ:古川原広斉 コントラバス:笠原勝ニ ホルン:國井沙織 神野了丞

オペラ『フィガロの結婚』K.492より 抜粋(コンサート形式)
アルマヴィーヴァ伯爵:土屋広次郎 伯爵夫人:柳澤涼子 スザンナ:辛島安妃子

オペラ『フィガロの結婚』K.492より 抜粋(コンサート形式)
アルマヴィーヴァ伯爵:土屋広次郎 伯爵夫人:柳澤涼子

オペラ『フィガロの結婚』K.492より 抜粋(コンサート形式)
フィガロ:高橋宏典 スザンナ:辛島安妃子

オペラ『フィガロの結婚』K.492より 抜粋(コンサート形式)
フィガロ:高橋宏典 ケルビーノ:木柳祥子

オペラ『フィガロの結婚』K.492より 抜粋(コンサート形式)